民生委員・児童委員 制度の歴史

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民生委員・児童委員 制度の歴史について

民生委員制度は100年以上、児童福祉法は70年以上にわたる長い歴史がある制度です。

※青地は神奈川県の歴史

1917年(大正6年)民生委員制度の源といわれる「岡山県済世顧問制度」が発足しました。
・岡山県の笠井信一知事が、大正天皇から県民の生活状況について質問され、状況を調査したうえで創設したのが「済世顧問制度」です。
・済世顧問は、貧困を防ぎ、「貧民の良き友」として自立した生活を促す者とされていました。
1918年(大正7年)大阪府で「方面委員制度」が発足しました。
・大阪府の林市蔵知事が、社会事業の権威であった小河磁次郎博士の協力で創設したのが「方面委員制度」です。
・「方面」とは「地域」を意味し、方面委員は担当地域の状況を把握や、救済が必要な人と救済機関をつなぐ役割でした。
1928年(昭和3年)方面委員制度が全国に普及されました。
・他の府県でも国の見解や方針を織り込みながら、同様の委員制度が相次いで創設されました。
1928年(昭和3年)神奈川県で「社会委員設置奨励規定」を公布・施行しました。
・昭和3年1月30日に神奈川県訓令第1号で「社会委員設置奨励規定」を公布、2月1日より施行しました。
・「社会委員設置奨励規定」は、社会委員を市町村の任意設置とし、設置する市町村の予算の範囲で助成をすることを定めた規定でした。
・社会委員の役割は、生活状態の調査、生活困窮者の相談と指導・救護、社会事業施設や行政への協力活動が主な内容だったと推察されます。
1931年(昭和6年)神奈川県で「社会委員設置規定」が制定・公布されました。
・救護法に置ける救貧対策を実施するため、神奈川県訓令49号により「社会委員設置規定」を制定し、社会委員の設置を義務しました。
1931年(昭和6年)「全日本方面委員連盟」が設立されました。
・全国の方面委員数が1万5155名となっていたことから、全国的な連絡・調整の必要性が増し、「全日本方面委員連盟(全民児連の前身)」が設立されました。初代会長は渋沢栄一でした。
1932年(昭和7年)3月「神奈川県方面委員連盟」が結成されました。
1932年(昭和7年)救護法が施行されました。
1936年(昭和11年)全国統一の制度として「方面委員令」が公布されました。
・全国組織の設立により活動体制が整ったこともあり、救護法や母子保護法に関する行政の補助機関の役割を担うようになりました。
・各地で任意に設けられた方面委員制度では、行政の補助機関としては限界があり、全国統一の制度として「方面委員令」が公布されました。
1938年(昭和13年)社会事業法が公布されました。
1946年(昭和21年)「民生委員令」が制定されました。
・日中戦争や太平洋戦争の戦時下においても、方面委員は人々に寄り添い、生活を支える活動をしていました。
・終戦後、方面委員が国民の困窮状態や要保護者の調査の中心を担いました。
・調査結果をうけ、GHQの指示を踏まえ、生活保護法とあわせて「民生委員令」が制定されました。
・「民生」とは、国民の生活や生計を意味しており、その改善や向上を担う委員であることが表現されています。
・方面委員時代の低所得者支援をするイメージを払拭し、児童や母子、高齢者の福祉など、広く国民の生活全般の相談に応じる役割を表しています。
1946年(昭和21年)神奈川県では「民生委員令施行細則」を制定しました。
・市町村ではそれぞれ「民生委員推薦委員会規則」を設け、全市町村で2451名が委嘱されました。
・神奈川県方面委員連盟は、「神奈川県民生委員連盟」と改称しました。
1947年(昭和22年)「児童福祉法」が制定されました。
・「児童福祉法」において、民生委員が児童委員を兼任することとされました。
・児童やその家庭の福祉に力を注ぎ、児童の支援のためには家庭の状況を総合的に把握する必要があることが、民生委員が児童委員を兼任する理由でした。
1948年(昭和23年)「民生委員法」が公布されました。
・勅令でなく法律化する必要があったこと、民生委員の選任のあり方を明確化する必要性から、「民生委員法」が制定されました。
・市町村民生委員推薦会、都道府県の審査会、3年の任期などが明確になりました。
1950年(昭和25年)神奈川県で「民生委員一人一世帯自立更生運動」を開始しました。
・生活保護に至る前の人々の生活を支援し、生活保護を受給している世帯には公的機関と協力して自立を助長しようという運動でした。
1951年(昭和26年)神奈川県民生委員連盟は神奈川県社会福祉協議会に統合されました。
・社会福祉事業法の制定により、これまで民生委員が担当していた生活保護事務は福祉事務所の社会福祉主事が行うことになり、民生委員は協力機関になりました。
・市町村の区域ごとに民生委員協議会を組織して自主的な活動を行うと同時に、神奈川県社会福祉協議会の会員として、地域と連携をして福祉活動を推進する役割を担うこととなりました。
1951年(昭和26年)「民生委員信条」と「児童憲章」が制定されました。
1955年(昭和30年)世帯更生資金貸付制度が創設されました。
・「民生委員1人1世帯自立更生運動」が世帯更生運動として全国的に展開されたことにより、たすけあい資金の設置や、心配ごと相談所の設置、地域の社会福祉の理解促進が進むと同時に、低所得者に対する融資制度として「世帯更生資金」(生活福祉資金貸付制度の前身)の設置が実現しました。
1960年(昭和35年)民児協総務(現民児協会長)制度が設置されました。
1968年(昭和43年)全民児連が、第1回全国モニター調査として「在宅ねたきり老人実態調査」を実施しました。
・全国の民生委員全員が一斉に70歳以上の居宅ねたきり高齢者を調査しました。
・全国で20万余りの居宅ねたきり高齢者がいることがわかり、国の在宅福祉施策の充実に影響を与えました。
1969年(昭和44年)全国婦人民生委員研修会で「丈夫な子どもを育てる母親運動」が提唱されました。
1969年(昭和44年)神奈川県民生委員児童委員協議会が結成されました。
・昭和42年の全国民生委員児童委員会にて、民生委員の基本的性格を、自主性・奉仕性・地域性に基づき民間活動であると定められました。
・民生委員の性格や目的が定まるなか、地区民生委員児童委員協議会の連合体として市町村民生委員児童委員協議会を結成するようになりました。
・神奈川県では市町村民生委員協議会の連合体として、神奈川県民生委員児童委員協議会が結成されました。
1974年 (昭和49年)全国の民生委員によって「孤独死老人ゼロ運動」が展開されました。
1976年 (昭和51年)神奈川県では「ともしび運動」の促進に協力しました。
・昭和53年より、「ボランティア10万人育成事業」に取り組み、「ともしび運動」の促進を図りました。
・「ともしび運動」は、障害のある人もない人も、高齢者も若者も、国籍が違う人も、すべての人たちがお互いに理解し、人権を尊重しあい、手を携えて歩むことができる「ともに生きる福祉社会づくり」を推進する運動です。
1990年(平成2年)福祉関係8法が改正されました。
・市町村を中心とした福祉施策推進のための福祉関係8法の改正が行われました。
1994年(平成6年)「主任児童委員制度」が創設されました。
・少子化の進行や虐待の深刻化が進む一方、高齢化によって民生委員が児童委員としての活動が十分に行えないとの指摘があり、児童委員活動を専門的に担う「主任児童委員制度」が誕生しました。
1999年(平成11年)児童虐待防止緊急アピールが発表されました。
2000年(平成12年)「民生委員法」が一部改正されました。(社会福祉基礎構造改革)
・福祉サービスが措置から契約制度に移行するなど社会福祉の枠組みが見直され、地域福祉の担い手として民生委員・児童委員への期待が高まるなか、民生委員法が改正されました。
・これまで名誉職とされていた規定が削除され、民生委員・児童委員は「住民の立場にたった支援者」であるとされました。
・職務についても、住民の生活状況を把握し、住民が地域で自立した生活を営めるよう援助をし、住民の福祉の増進のための活動を行うことが職務とされました。
・民児協総務は「会長」と呼称が変更されました。
2001年(平成13年)「児童福祉法」が改正されました。
・児童福祉法に、主任児童委員が明示されました。
2006年(平成18年)「災害時一人も見逃さない運動」を展開しました。
・阪神・淡路大震災や新潟中越地震などにより、災害時要援護者への支援が課題となる中、全国的に「災害時一人も見逃さない運動」に取り組みました。平時に災害時に備えるためのもので、その後の自然災害で大きな成果がありました。
・2011年(平成23年)に起きた東日本大震災でも、民生委員・児童委員は安否確認や避難誘導に大きく貢献しました。しかし、使命感から避難できなかった56名の民生委員・児童委員が命を落とし、民生委員・児童委員自身の命を守ることの重要性を学ぶこととなりました。
2007年(平成19年)民生委員制度創設90周年を迎えました。
2014年(平成26年)主任児童委員制度創設20周年を迎えました。
2014年(平成26年)「民生委員・児童委員の活動環境整備に関する検討会」報告書が取りまとめられました。
2017年(平成29年)民生委員制度創設100周年、児童委員制度創設70周年を迎えました。
2019年(平成31年/令和元年)主任児童委員制度が25周年を迎えました。
2019年(平成31年/令和元年)神奈川県民児協が創立50周年を迎えました。
2019年(平成31年/令和元年)「災害に備える民生委員・児童委員活動に関する指針(改訂第3版)が策定されました。